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そっと見守るような…そんな愛し方ができたら良かった?
主 人

 遊。 -Yu.-
 変態について詳しくは此方から

擬 人
夢 語
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声がする。そう紡いだのは、紛れも無く目の前で自分を組み敷いている男だった。こんな、霰も無い格好で、しかも俺を追い詰めながら言う言葉では無いだろう。なんたって、今は世間的に言う情事中なのだから。それでも、この赤毛の男、ラビは、声がする、そう呟いて縫い留める俺の手を、ぎゅっと握り締めて来た。見た目通りの温かい指先が俺の腕に食い込んで、それに比例する様に指先が痺れ、色を失っていく。


「なあ、ユウ」
「…なん、だよ。」
「声が、」


そう紡ぐコイツの眼は俺を見据えてる様に見えて、何処か遠くを観ている様で。まるで、獲物を捕えた狼が、じっと獲物を見つめる様な、虚ろとは違うギラリと光る何かを、その眼に燈して。


「ユウ」
「聞こえねぇ、よ…」


ぽつり、紡いだ言葉は汗と体液の混ざった空気を震わせて、どうやら目の前の男に届いたらしい。一度眼を伏せて哀しそうに笑った姿にどうして良いのか理解らなくなる。どんな言葉があれば、お前はそんな顔をしなくて済むんだ。付き合いは長い筈だし、こんな関係になってからも、長い筈だ。けれど、不意に見せるお前のその哀しい顔、が、


「おい、…」
「…ん?…」


どうしてやれば良いんだろう。その眼は何も訴えてない癖に、哀しみしか宿してない癖に。俺はそういうのを察する事は出来ないから、どんな言葉でもぶつけてくれれば良いのに。そう以前に伝えた所でコイツは小さく微笑っただけで、全く改善が見られない。…きっと、コイツのこの表情は無意識の事で、コイツにとっては、普段の飄々とした顔と同じつもりなんだ。ただ、それを御しきれなくなっているだけで。お前は、どうした、どうしたら。


「ユウ?…イテッ?!いてぇさ!!」
「…ラビ。」


その燃える様な紅い髪を無理やり引っ張り、耳元へ唇を寄せる。ガシリと耳の淵を思い切り噛んでやれば痛みで非難の声を上げ、身体を離そうとした。その首に緩く腕を絡めてそのまま名前を紡ぐ。愛しいんだと、大丈夫なんだと伝える様に。そりゃあ、俺は言葉だって行動だって、お前が望むほど与えてやれないし、どうしたらお前のその表情を和らげられるのかも理解らない。だから、今だけはお前のその心の闇に触れられる様に、精一杯の俺の気持ちを込めて。


「お前の声なら、ちゃんと聞こえてる。」




縷々
モラトリアム

( 一瞬きょとんとして、それから嬉しそうに微笑うお前が好きなんだ。 )
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