そっと見守るような…そんな愛し方ができたら良かった?
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薄暗い部屋、差し込む月明かりに、浮かび上がる影は二つ。呆然と立ち尽くす影と、ゆっくりと踵を返し、離れていく影と。ゆらゆらと揺れ動く影とは裏腹に隻眼は色など灯していなかった。知らない眼、知らない色、知らない感情、知らないお前。
頭の中では咀嚼できなかった言葉が何度も何度も反復し続けて、その割に脈打つ心臓は段々と速鳴り警鐘のように鳴り響く。
それは警告というよりも確信にも似ていて気持ちが悪い。
ああ、早くお前の名前を呼ばないと、
「ラビ。」
嫌に響いた自分の声。強く名前を呼んだ自分の声は幾らか震えていたかもしれない。人がいるにも関わらず閑散とした部屋に溶け込む事すら出来ないそれは、声というよりはただの空気の振動とでも言う様に、名を呼ばれた筈の相手は振り返りもしなかった。
心臓は急速に血液を送り出していた筈なのに、一瞬にして血の気が失せていく。いっそ白くなっているかもしれない指先で、無意識に団服を握り締めて。
「…ラビ…」
もう一度その名を紡いでみても扉へと歩むその速度も歩幅も変わらない。何も聞こえないとでも、最早その名前は自分のものでは無いとでも言いたいのか、それとも、己の言葉などもう聞く気も無いとでも言うのか。
いつから、道は分かれてしまった。いつから、想いは同じ場所になかった。いつから、俺はお前の事を理解ってやれていなかった。いつから、
「…っラビ…」
目頭に生まれる熱、ぼやける後ろ姿。走り寄ることも出来ない脚と、延ばすことも出来ない腕と。立ちすくんだまま動けない俺と、段々と離れて行くお前。
情けないほど震えた声が紡ぐのはお前が捨てた名前と、置き去りにされた想いと。
「…ッラビ!!」
「…ユウ、…」
頭の中では咀嚼できなかった言葉が何度も何度も反復し続けて、その割に脈打つ心臓は段々と速鳴り警鐘のように鳴り響く。
それは警告というよりも確信にも似ていて気持ちが悪い。
ああ、早くお前の名前を呼ばないと、
「ラビ。」
嫌に響いた自分の声。強く名前を呼んだ自分の声は幾らか震えていたかもしれない。人がいるにも関わらず閑散とした部屋に溶け込む事すら出来ないそれは、声というよりはただの空気の振動とでも言う様に、名を呼ばれた筈の相手は振り返りもしなかった。
心臓は急速に血液を送り出していた筈なのに、一瞬にして血の気が失せていく。いっそ白くなっているかもしれない指先で、無意識に団服を握り締めて。
「…ラビ…」
もう一度その名を紡いでみても扉へと歩むその速度も歩幅も変わらない。何も聞こえないとでも、最早その名前は自分のものでは無いとでも言いたいのか、それとも、己の言葉などもう聞く気も無いとでも言うのか。
いつから、道は分かれてしまった。いつから、想いは同じ場所になかった。いつから、俺はお前の事を理解ってやれていなかった。いつから、
「…っラビ…」
目頭に生まれる熱、ぼやける後ろ姿。走り寄ることも出来ない脚と、延ばすことも出来ない腕と。立ちすくんだまま動けない俺と、段々と離れて行くお前。
情けないほど震えた声が紡ぐのはお前が捨てた名前と、置き去りにされた想いと。
「…ッラビ!!」
「…ユウ、…」
歪曲
エンティティ
エンティティ
( 扉が閉まる瞬間、微かに微笑って振り返ったお前が紡いだ言葉なんて、 )
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