そっと見守るような…そんな愛し方ができたら良かった?
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ねえ、僕らは何時だって、報われない。
そう思いませんか?何を育む訳でもない、生み出せない、ただ、そう、何時か君が言っていた様に、奪う事しか出来ないのかもしれない。
だって何も、本当に、何も。僕達が出来る事は酷く不確かな事ばかりで。君のその、蒼黒色の瞳が、訴えていた様に、咎めていた様に、まるで、縋っていた、様に。せめて何かカタチでも残せたら、この憂いも悲しみも癒せるんだろうか、もし誰かを救えたという証が残せたなら、僕が此処にいたという証が残せたなら、君が此処にいるという証が残せたなら、もしも、僕と君が、共にいたという証が、残せた、なら。
それでも、ほら、やっぱり、僕らが出来る事なんて、何時だってただ、ナイフを握ったその手を無感情に振り翳すだけ。
何時しか過ぎた不安は、「ぼくは いつかきみを こわしてしまうんじゃないか」 なんて。
「…阿呆くせぇ。」
「あ、酷いですよ、カンダ。僕の話、ちゃんと聞いてます?」
「るせぇな、邪魔すんなら出てけ。」
不機嫌そうに、実際、不機嫌なんだろう彼は分厚い本へと落とした視線を上げる事も無く、ぴしゃりと言い放つ。休みの日の彼の行動と言えば、稽古をしているか、睡眠を取っているか、本を読んでいるか。この前の休みは、書庫で見つけたんだっけ。(あそこには、出来れば行って欲しくないのに。)(だってあそこには、ラビがいる。)静かに本を読む事が好きな君の、邪魔をしたい訳では無いんだけど。(でもね、知ってるんですよ、僕は。)(さっきから少しも、頁を捲っていない事。)
「カンダは、不安にならないんですか?」
「…何を。」
「僕が君を殺してしまうんじゃないか、って。」
「…くだらねぇ…。」
「あれ、そんなに僕、愛情表現希薄でした?」
にこり、と微笑ってそう言えば、微かに染まる頬と、遅れて響く舌打ち。可愛い、なんて言ったらきっと、それこそ目に見えぬ速さで部屋から追い出されてしまうんだろう。(易々と追い出されてやる気も無いけれど。)小さく落ちた沈黙は彼との空間では想定内で(何時だって彼は視線すら合わせやしないし、照れ隠しだって、理解ってはいるんだけど。)その沈黙を破るのは僕、の筈だった。
けれどその場に響いたのは、静かに、諭す様に、それでも確かな鋭利さを持った声音。
「…護られて簡単に死ぬ奴を望むなら、他を探せ。」
「え?」
「俺は、お前にだって簡単に殺されてやらない。お前を殺す気も、殺させる気も、ない。」
「…どうして?」
「……、…」
「ねえ、どうしてです?教えて下さいよ、カンダ。」
「…俺には、お前の居ない世界に価値は無い。喩え、お前が居た痕が残っていても。」
再度落ちた沈黙に、言われた言葉が頭の中を駆け巡る。ああ、こんな時ばかり、処理速度が追いつかない。パラリとまるで図った様に響いたページを捲る音に助けられて、どうせ読んでいない癖に、なんていう悪態は口元の笑みへとすり替わった。
何だ、彼も、少しは僕に、依存してくれているのか。彼らしい、判りにくい言葉は、何よりも甘くて、刹那的で、独善で。なんて、愛しい。
「まさか、君の口からそんな殺し文句が聞けるなんて思いませんでした。」
「…いい加減に黙らねぇと、本当に部屋から追い出すぞ。」
そう思いませんか?何を育む訳でもない、生み出せない、ただ、そう、何時か君が言っていた様に、奪う事しか出来ないのかもしれない。
だって何も、本当に、何も。僕達が出来る事は酷く不確かな事ばかりで。君のその、蒼黒色の瞳が、訴えていた様に、咎めていた様に、まるで、縋っていた、様に。せめて何かカタチでも残せたら、この憂いも悲しみも癒せるんだろうか、もし誰かを救えたという証が残せたなら、僕が此処にいたという証が残せたなら、君が此処にいるという証が残せたなら、もしも、僕と君が、共にいたという証が、残せた、なら。
それでも、ほら、やっぱり、僕らが出来る事なんて、何時だってただ、ナイフを握ったその手を無感情に振り翳すだけ。
何時しか過ぎた不安は、「ぼくは いつかきみを こわしてしまうんじゃないか」 なんて。
「…阿呆くせぇ。」
「あ、酷いですよ、カンダ。僕の話、ちゃんと聞いてます?」
「るせぇな、邪魔すんなら出てけ。」
不機嫌そうに、実際、不機嫌なんだろう彼は分厚い本へと落とした視線を上げる事も無く、ぴしゃりと言い放つ。休みの日の彼の行動と言えば、稽古をしているか、睡眠を取っているか、本を読んでいるか。この前の休みは、書庫で見つけたんだっけ。(あそこには、出来れば行って欲しくないのに。)(だってあそこには、ラビがいる。)静かに本を読む事が好きな君の、邪魔をしたい訳では無いんだけど。(でもね、知ってるんですよ、僕は。)(さっきから少しも、頁を捲っていない事。)
「カンダは、不安にならないんですか?」
「…何を。」
「僕が君を殺してしまうんじゃないか、って。」
「…くだらねぇ…。」
「あれ、そんなに僕、愛情表現希薄でした?」
にこり、と微笑ってそう言えば、微かに染まる頬と、遅れて響く舌打ち。可愛い、なんて言ったらきっと、それこそ目に見えぬ速さで部屋から追い出されてしまうんだろう。(易々と追い出されてやる気も無いけれど。)小さく落ちた沈黙は彼との空間では想定内で(何時だって彼は視線すら合わせやしないし、照れ隠しだって、理解ってはいるんだけど。)その沈黙を破るのは僕、の筈だった。
けれどその場に響いたのは、静かに、諭す様に、それでも確かな鋭利さを持った声音。
「…護られて簡単に死ぬ奴を望むなら、他を探せ。」
「え?」
「俺は、お前にだって簡単に殺されてやらない。お前を殺す気も、殺させる気も、ない。」
「…どうして?」
「……、…」
「ねえ、どうしてです?教えて下さいよ、カンダ。」
「…俺には、お前の居ない世界に価値は無い。喩え、お前が居た痕が残っていても。」
再度落ちた沈黙に、言われた言葉が頭の中を駆け巡る。ああ、こんな時ばかり、処理速度が追いつかない。パラリとまるで図った様に響いたページを捲る音に助けられて、どうせ読んでいない癖に、なんていう悪態は口元の笑みへとすり替わった。
何だ、彼も、少しは僕に、依存してくれているのか。彼らしい、判りにくい言葉は、何よりも甘くて、刹那的で、独善で。なんて、愛しい。
「まさか、君の口からそんな殺し文句が聞けるなんて思いませんでした。」
「…いい加減に黙らねぇと、本当に部屋から追い出すぞ。」
残響
ラストワルツ
ラストワルツ
( そんな事言われたら、ますます手放せなくなるじゃないですか! )
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