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そっと見守るような…そんな愛し方ができたら良かった?
主 人

 遊。 -Yu.-
 変態について詳しくは此方から

擬 人
夢 語
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いつか観た景色は、とても鮮やかだった。それは良くも悪くも極彩色で、とても単調な、紅い、赫い、見た目とは裏腹に温もりなんて全く灯していない、いや、既に温もりの無くなってしまった、世界。ただ暗い闇を映す双眸はまるで遅すぎた制裁の時を怨望する様な。これをきっと人は、罪の意識だと言うんだろう、生きている者の、背負っていかなければいけない者の、傲慢。もう届かないと知っているのにそれは懺悔の様に尽きる事無く、それでも言葉としては、音を成す事も無く。
助けてあげられなくてごめんね。もっと生きたかったよね、この世界をきっと、もっと見ていたかったよね。もしも、平和な世界に、平和な時に、生まれていれば。もしも、こんな昏い戦争に巻き込まれなければ。

もしも、僕が、指令を下して、いなけれ ば ?


「コムイ。」
「やぁ、珍しいね、君が僕の所に来るなんて。」


風に揺られる黒髪を一度目で追って、まるで睨む様に此方を見続ける眼へと視線を移す。ああ、ちゃんと色を灯した、蒼黒色の瞳、綺麗な、綺麗な、深い海の底を思わせる様な、それでも確かな鋭さを併せた瞳。その周りを縁取る睫毛が一度だけ、本当に僅かに揺れて。


「どうかしたの?カンダ君。」


ごめんね、ごめんね、本当は知ってるよ、心配して来てくれたんだよね。君は本当は誰よりも敏感で、誰よりも人を見ているから。だからきっと、僕の微笑った顔を見て、君は何も言わずに、きっと、何事も無かったかの様に、いつもと"同じ"を演じてくれる。(ああ、少し御幣があるね、僕が"演じさせている"んだ。)踏み込まない君と、踏み込ませない僕。平行線はきっと交わらない。闇色の世界には、交わる線なんて無い。


「…おい。」
「うん、なんだい?」
「下手な笑い方してんじゃねぇよ。」


一瞬、本当に一瞬だけ機能を停止した脳が動き始めたのは、無感情に響いた靴音が、耳を掠めたから。紛れも無く一歩を踏み出した彼が生み出した靴音は、二人しかいない部屋に嫌に、響いて。


「…困ったな。」
「俺は死なない。ちゃんと此処に…お前の所に帰ってくる。何があっても。」
「保障は…無いだろう?」
「自信はある。だから、テメェは何時も通り巫山戯た顔して、笑ってろ。」


踏み出した一歩は簡単に壁を打ち破り、目前まで歩みを止めることも無く。ねえ、どうして、そんなに簡単に、僕は君に手を伸ばす事すら躊躇うのに。頬へ触れた指先からは確かな、"生きている"君の温度、が。この世界に確かなものなんて、何一つ無いのに。願いながら伏せた瞳を開いて見据えた先にある変わらない意志の強さを秘めた瞳が、昏くこの世界を嘆きませんように。
哀しむ事すら赦されない僕らの祈りを、どうか、どうか、どうか。


「指令を寄越せ、コムイ。」




闇色
オペラグラス

( ねえ、それでも君だけは、確かに此処にいて。 )
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