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そっと見守るような…そんな愛し方ができたら良かった?
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 遊。 -Yu.-
 変態について詳しくは此方から

擬 人
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たとえばもう少しだけ、この指先にアイツの熱が残っていたのなら。
そう願う事すら、俺達には罪なのだろうか。



血で汚れあった手の平でしか触れる事のできない僕たちは、互いに、そうお互いの温もりを覚える事だけが、きっと、今この世界、朽ちて軋んでいく、悲鳴をあげる世界に"存在"するという、自分自身を繋ぎとめる理由や、それを確認する術になっていて。そう、僕らは皆、不安で堪らないんでしょうね。汚れていく事も、変わっていく事も、全部。だから誰かに繋ぎとめて欲しくて、温もりを知りたくて、知ってほしくて。もしかしたら、自分の穢れが浮き彫りになるかもしれないのに、それでも、求めずにはいられない。
確かに自分を理解してくれる"存在"を。

ねえだから、手を繋ぎませんか。



そう微笑った白い、どこまでも白い(本当に、白すぎて、そこに"存在"しているかどうかも疑わしい)アイツは、同じだけ白い手の平を、俺の方へと差し出した。
握り返せとでも言うんだろうか、俺に、この、白い手を。そんな事が出来る筈も無く、馬鹿げている、そう罵って、一度はその手を振り払った。汚れているんだ言葉通り、今の俺の手は、血で汚れている。それは今まで共に任務をしていたお前なら理解る筈だろ?同じだけ、あの、穢れた血で、両手を汚した筈なんだから。それなのに、再度差し出された手は未だ真っ白なまま。どこか縋るように伸ばされた手は、真っ白なまま。綺麗な、まま?本当に?


「ねえ、カンダ。」
「うるせえな、…」


伸ばされた手の平を絡め、指先に当たった液体に眉を寄せた。その先を、見る必要は無い。綺麗な訳が無いのだから。人間は一体どれだけ自分の想いで、"存在"を美化できるのか。
同じだけ汚れて、同じだけ穢れて、同じだけの屍の上に立ち、それでも歩んで行くんだろう。
コイツは同じ様に、たくさんの想いを捨てきれずに、その肩に乗せながら。本当に馬鹿げてる。(一々泣くな、って言ったら無理して微笑いやがるから、もう言わねえ。)ただ、その馬鹿馬鹿しさもコイツの一部と認めている辺り、自分もその色に侵食されてきたらしい。それはきっと、自分が思っているより、ずっと。
おかしくておかしくて、喉の奥で笑えば、それにぴくりと跳ねたのは、握り締めたばかりの手。


「…なんだ。」
「いえ、嫌なら、やっぱり…」
「嫌なら最初からしねぇよ。」


それでも緩く自分の手を引き離そうとする、だから、確りと、それこそ指先の色が少し失せていく位に繋ぎとめて。ああ、理解った。今きっと、理解したんだろう、こいつも、自分以外の手に触れて、俺と同じ様に。不安と苛立ちが募るこのひび割れた世界の確かに変わらないものと、自分と同じもの、を。同じ様に穢れて、汚れて、それでも息衝くもの、を。


「気にすんな、俺の手も、とっくに汚れてる。」




純白
マダードール

(離せないのは、やっぱりお前の手だけは、綺麗に見えるからかもしれない。 )

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